社会科学専門図書出版 文眞堂(文真堂)

『バランシングの経営管理・経営戦略と生産システム』

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はしがき

「企業活動における効率性と多様性の調和をめざして」

近年の経営環境の変化を大局的な観点から見てみると,グローバル競争の激化,技術の高度化,市場の多様化,労働者の価値観の多様化等を指摘することができる。こうした経営環境における複雑性の増大は,従来型の単なる低価格競争や技術開発競争のような偏った特定分野での一点集中型の競争優位獲得の有効性を低下させており,企業システムの再構築が必須の状況となっている。

さらに,単なる市場の範囲をこえる経営環境の意味論的・空間的拡張(例えば,市民社会や自然空間)により,市場または企業内部のみに閉じた従来型の企業システムの脆弱性が露呈しており,多様で幅広い経営環境に対する自己適応システムとしての企業システムの変貌が求められている。なぜなら,多くの企業システムは従来の(多くの場合,ミクロ的な)制約条件に縛られ,それを前提とした最適化を図るのに対して,自己適応システムは自己を全体として「バランス」良く(マクロ的な)環境に合わせ,新たなシステムの創発を目指すためである。

すなわち,経営環境の無数の要因が絡み合う高エントロピーの状態を所与にして,経営システムの局所的な制御ではなく,環境適応的なシナジーとシステム柔軟性による新たな企業システムの創発が求められるのである。もちろん,持続可能(サステナブル)な競争優位の基盤を,ある特定の競争分野のみではなく,企業全体として構築していくことにより,環境の複雑性に対抗しなければならない。言い換えれば,競争優位の機能的要素や部分的要素が,相互に有機的「バランス」を取るようなマネジメントを展開することにより,企業全体にとっての最適化が実現されるのである。

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