社会科学専門図書出版 文眞堂

斯学研究45年余の成果。共生世界構築を提言

柳田義章 著

東アジア諸国の産業の国際競争力

その変化と展望の統計分析

〈あとがき ... 1 / 10〉

筆者が,リカードウ貿易理論に関心を持ったのは,町田実教授の『国際貿易論』1)であった。1964年のことである。同書「はしがき」で,教授は,「私は現代の貿易問題の理解のためには,個々の貿易現象の理解も重要であるが,まず歴史的に,しかも経済理論の中で大局的に把握しておくことが重要であると考え,貿易に関する諸問題の歴史的発展の過程を総括的に叙述し,貿易および商業関係の学徒の参考に供しようとしたのである。このばあい,貿易現象を単なる流通過程の問題としてとらえるのではなく,その社会的経済的背景と,何よりも諸商品の生産関係に着目し,つとめて平盤的になることをさけた。」2)と述べられている。同書は国際貿易問題をアカデミックな水準で,歴史的・理論的・学説史的に,しかも体系的に平易に叙述されており,他に類書のない名著である。筆者のリカードウ貿易理論との出会いは,同書に導かれて,「第3章第4節古典派貿易理論の形成,3.リカードの貿易理論」であった。その時以来,筆者は,「リカードの貿易理論」を実証水準において検証することを研究の主題とすることになった。その場合,必要な基礎的データは,労働生産性の国際比較の数値であった。しかし,当時このデータの入手および算定が極めて困難で,私の研究は停滞もしくは頓挫していた。そうしたおり,労働生産性の国際比較研究が行沢健三教授の研究室で行われているという情報を得た筆者は,町田実教授のご紹介で,京都大学経済研究所比較産業研究室に国内研修の機会を得ることになった。「リカードウの貿易理論」の実証研究を思いたってから,すでに数年後の1973年の秋からであった。以来,筆者を温かく迎えて下さった行沢健三教授のもとで労働生産性の国際比較作業のご指導を受け,思いがけない行沢健三教授のご不幸のあとは,行きがかり上,教授の研究の一部を引き継ぎ,これを発展させることを心掛けてきた3)。

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内容紹介

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