経営学史事典
経営学史学会創立10周年記念

経営学史学会 編
 

定価 3,300円(税込)本体3,000円
四六判 372頁
ISBN 978-4-8309-4421-5(4-8309-4421-8)
2002年6月発行
在庫僅少

●推薦の辞  経営哲学学会代表理事  三戸 公

『経営学史事典』文眞堂,2002年が,経営学史学会創立10周年を隆盛裡に迎え,それを記念し,総力を結集してここに成った。当学会はもちろん,日本の経営学さらには日本の学問にとって意義深いものがある。
経営学は成立して100年,その背後にある企業のマーケティングとイノベーションのサバイバル競争を中心として形成せられてきた組織社会,管理社会の要請に応えて発展し現在に到っている。そして,現代における最重要な学としての認識が次第に拡がりつつある。
だが,この学の極めて多彩かつ広範な展開は未だなお定説をもたせていない。それゆえ経営学は経営学史としてのみ全貌をつかむほかない。したがって,本事典は経営学事典として読まれるべきものである。同時に,この事典は引く辞典として十分な配慮が為されている。
ここに,本事典の刊行が経営学関係者・学生のみならず,実務家,さらに人文・社会諸学者に広く迎えられることを願う。

●本書「はじめに」より  経営学史学会理事長 村田 晴夫

経営学史学会創立10周年に当たって,記念行事として『経営学史事典』を編して広く会員にその研究の資を投じ,斯学に関心をもつ同学の諸氏にたいしてひとしくその研究の資とならんことを念願し,かつはさらに広くこの分野にたいする関心を喚起せんとすることを念じて,これを世に送ることとした。もちろん,この事業にはこの10年間に成長してきた経営学史学会の総力を結集することによって,われわれの現時点での指標とし,今後の発展のための基礎とすることがその基本にあることは言うまでもない。(中略)
『経営学史事典』は,このような経営学史研究の使命を自覚し,その視点に立って編集されている。そしてそれと同時に,諸研究者並びに諸実務家,そしてさらに願わくは諸市民,これら諸々の交流に便宜を供することによって,経営学史研究の進展が一層促進されるようにとの願いがこめられている。
以上のことから,この『経営学史事典』は学史・理論の単なる辞典ではなく,経営学史研究の展望ともなり,用語の解説ともなるように編集されている。具体的には,経営学史研究の意義と方法が述べられ,つづいて経営学研究の史的展開が,各国別に,また主要問題領域別に展開されている。そしてそれにつづいて,事項と経営学の名著・古典・基本文献,さらに人名,を知るための便を供する内容となっている。

主要目次
  • <本書の構成>Ⅰ 経営学史研究の意義と方法 1.意義/2. 方法(a)/3. 方法(b)Ⅱ 経営学研究の史的展開 A.各国における経営学研究の史的展開〔1〕 ドイツ 1. ドイツにおける経営経済学の生成/2. 第二次大戦後のドイツ経営学の発展と現状/3. 第3次方法論争と新実証主義(論理実証主義と批判的合理主義)/4. 現代ドイツ経営経済学における2つの潮流 〔2〕 アメリカ 1. アメリカ経営学の前史と生成期/2. 科学的管理の時代,1920年代までのアメリカ経営学/3. 管理過程論の形成と発展/4. 1920年代から30年代のアメリカ経営学/5. 1930年代から50年代のアメリカ経営学/6. 多様な展開をみせた1960年代のアメリカ経営学/7. 1960年代から70年代のアメリカ経営学/8. 1960年代以降のアメリカ経営学の中核/9. 1990年代のアメリカ経営学の動向 〔3〕 イギリス 1. 第二次大戦前までのイギリス経営学/2. 第二次大戦後のイギリス経営学 〔4〕 フランス 1. フランスにおける経営学の生成と発展/2. フランスにおける科学的管理の発展/3. 第二次大戦後フランス経営学研究の史的展開 〔5〕 日本 1. 経営学の胎動・生誕・転変/2. 経営学の再出発と発展―第二次大戦後/3. 経営学の海外発信―組織の知識創造理論 〔6〕 ソヴィエト・ロシア 1. 社会主義経営前史/2. ソヴィエト経営学の時代/3. 体制転換後のロシア経営学 B. 経営学の主要問題領域における研究の史的展開 〔1〕 企業の理論 1. 企業目的論・所有と経営の分離論など(a)/2. 企業目的論・所有と経営の分離論など(b)/3. 企業の経済理論(a)欧米/4. 企業の経済理論(b)日本/5. 企業間関係論 〔2〕 組織の理論 1. 伝統的組織論/2. 新古典派の組織論/3. 近代組織論(a)バーナード/4. 近代組織論(b)サイモン以降/5. コンティンジェンシー理論(状況適合理論)/6. 新しい組織論の胎動 〔3〕 機能別管理論 1. トップ・マネジメント論/2. 生産管理論/3. 財務管理論/4. マーケティング論/5. 人事・労務・労使関係(a)アメリカ/6. 人事・労務・労使関係(b)日本/7. 組織管理論/8. 情報管理論 〔4〕 その他 1. 経営戦略論/2. 経営の国際化/3. 日本的経営/4. マネジメント・サイエンス/5. 経営教育/6. 環境と経営/7. 経営倫理/8. 経営哲学(a)歴史と役割/9. 経営哲学(b)対象領域と意義 Ⅲ 事項 1. 事項/2. 経営学の名著・古典・基本文献 Ⅳ 人名 事項索引/人名索引/元号・西暦対照表